一猪口ひとちょく)” の例文
お父様は一猪口ひとちょくくらいしか召上らないので、私が口取くちとりを食べている傍で、皆の様子を機嫌よく見ていられます。車夫もその日は優待です。お母様のおみやげは折詰でした。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
珠運が一身二一添作にいちてんさくの五も六もなく出立しゅったつが徳と極るであろうが、人情の秤目はかりめかけては、魂の分銅ふんどう次第、三五さんごが十八にもなりて揚屋酒あげやざけ一猪口ひとちょく弗箱ドルばこより重く、色には目なし無二無三むざん
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
と其のうち此方こっちへ膳を持って来て酒の燗を付け、月を見ながら一猪口ひとちょく始めて
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)