一咳いちがい)” の例文
松本はがい一咳いちがいしつ「我が鍛工かぢこう組合の評議員篠田長二君の身上について、一個の動議を提出するんですから、先づ同君にむかつて暫時退席を要求致します」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
喝采やんやの声のうちに渠はしずかにおもてもたげて、情を含みて浅笑せり。口上は扇をげて一咳いちがい
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
人間同志の今の不安を見過し得ない憂世ゆうせいの血が、その底を流れている。がい一咳いちがいして
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
村山課長、一わたり机の上の整理が済むと、エヘンと一咳いちがいして、拍子の悪い
接吻 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
媒妁は一咳いちがいしてやおら立上った。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)