刺客蚊公之墓碑銘しかくかこうのぼひめい柩に収めて東都の俳人に送るひつぎにおさめてとうとのはいじんにおくる
田舎の蚊々、汝竹藪の奥に生れて、その親も知らず、昼は雪隠にひそみて伏兵となり、夜は臥床をくぐりて刺客となる、咄汝の一身は総てこれ罪なり、人の血を吸ふは殺生罪なり、蚊帳の穴をくぐるは偸盗罪なり、耳のほとりにむらがりて、雷声をなすは妄語罪なり、 …