土地とち
鬱陶しい梅雨の季節が過ぎ去ると、焼くがような太陽の光が、じりじりと野や山に照りつけ初めた。畑の麦の穂は黄色く干乾び、稲田の水はどんよりと温み、小川には小魚が藻草の影に潜んだ。そして地面からまた水面から、軽い陽炎がゆらゆらと立昇るのを、蒸し暑 …