蟻を見るたびに感心する。よくも精を出して働くもので、一匹ぐらい石ころの蔭で昼寝をしていてもよさそうなものだが、とんと見当らない。そこにゆくと、人間は有難い。程々に生きることも勝手だ。どう生れ変っても蟻だけには生れたくないものだ。 私が一年に …
著者 | 小津安二郎 |
ジャンル | 芸術・美術 > 演劇 > 映画 |
初出 | 「文藝春秋 昭和三十三年十一月号」文藝春秋新社、1958(昭和33)年11月1日 |
文字種別 | 新字新仮名 |
読書目安時間 | 約14分(500文字/分) |
朗読目安時間 | 約22分(300文字/分) |