学生時代の菊池寛がくせいじだいのきくちかん
△ 菊池寛は明治四十三年夏のはじめに一高の入學試驗をうけたが、私もやはりその時の受驗生の一人だつた。身體檢査の際に、みんなが猿又一つのまる裸になつて、一列にならびながら自分の順番を待つてゐるとき、丁度私のすぐ前に同君が立つてゐた。その頃から …