怒れる高村軍曹いかれるたかむらぐんそう
消燈喇叭が鳴つて、電燈が消へて了つてからも暫くは、高村軍曹は眼先きをチラ/\する新入兵たちの顔や姿に悩まされてゐた。悩まされてゐた——と云ふのは、この場合適当でないかもしれない。いざ、と云ふ時には自分の身代りにもなつて呉れる者、骨を拾つても …