創始期の詩壇そうしきのしだん
明治十五年にかの有名な「新體詩抄」が刊行された。 わたくしはまだ七歳の小兒であつて、宵の明星や光の強い星を木の間がくれにふと見つけ出して、世間の噂さの名殘をそのまゝに「西郷星」だと囃したてゝ、何となく寂しい思ひの底に胸のとどろきをおぼえた時 …