南洋パラオ島の汽船會社に勤めてゐる從兄があります。名前を云へばわかるかも知れませぬが、わざと書かない。この從兄は十年前に或る政治運動に獻身して捕へられ、殆ど十年近く世の中から遮斷せられ、このごろ出ることを許され、今は南洋パラオ島で懸命に働い …
著者 | 太宰治 |
ジャンル | 文学 > 日本文学 > 評論 エッセイ 随筆 |
初出 | 「國民新聞 第一七三〇九号~第一七三一一号」1940(昭和15)年1月30日~2月1日 |
文字種別 | 旧字旧仮名 |
読書目安時間 | 約8分(500文字/分) |
朗読目安時間 | 約13分(300文字/分) |