六月十九日ろくがつじゅうくにち
なんの用意も無しに原稿用紙にむかつた。かういふのを本當の隨筆といふのかも知れない。けふは、六月十九日である。晴天である。私の生れた日は明治四十二年の六月十九日である。私は子供の頃、妙にひがんで、自分を父母のほんたうの子ではないと思ひ込んでゐ …
題名が同じ作品
六月十九日 (新字新仮名)太宰治 (著)