多摩川冒険記たまがわぼうけんき
夏の末の大雨に、多摩川氾濫し、家流れ、田流れ、林流れ、人畜死し、汽車不通となりけるが、雨霽れて、三四日經たり。幸ひ日曜なればとて、三人の友と共に、大山街道を取りて、二子の渡に至る。平生水は砂磧中の一小部分を流るゝに過ぎざるに、今や全砂磧を蓋 …