塩原新七不思議しおばらしんななふしぎ
夜光命、十口坊、打揃ひて裸男を訪ひ、『鹽原温泉に遊ばずや』といふ。『鹽原は幾度も遊びたる處也。唯〻未だ鹽原の紅葉を見ず。紅葉の時節なら、否應は云はねど、今はその時節に非ず。又避暑の時節にも早し』と首打傾くれば、『我等兩人未だ鹽原を知らず。枉 …