粕壁夜行記かすかべやこうき
第三回の夜行を粕壁に爲すこととなりけるが、夜光命も來らず、十口坊も來ず、山神慨然として、『妾を伴ひ給へ』と乞ふ。似たもの夫婦と、人や云ふらむ。裸男承知して、將に家を出でむとすれば、伊藤薊山、上京したるばかりの足にて、來り訪ふ。裸男の行裝を見 …