私の竜之助感わたしのりゅうのすけかん――舞台上の愛人――――ぶたいじょうのあいじん――
戀は盲目だとか、昔からの諺である。相手が惚れた男なら、あばたもえくぼに見えるように、所詮、戀人は批評の外の存在である。私の「大菩薩峠」に對する氣持も、正直に言えばその通りで、全く批評を超えたものである。 がしかし、私がかほど戀する「机龍之助 …