後記〔『道鏡』〕こうき(『どうきょう』)
道鏡といふ題名はよくなかつた。この小説の主人公はむしろ孝謙天皇だ。三人の女主人に維持された天皇家といふ家族政府の独自な性格、家をまもるに鬼の如くに執念の深い女主人の意志によつて育てられ、その意志の精霊の如くに結実した聖武天皇とその皇后と、そ …