老人ではなかつた。二十五歳を越しただけであつた。けれどもやはり老人であつた。ふつうの人の一年一年を、この老人はたつぷり三倍三倍にして暮したのである。二度、自殺をし損つた。そのうちの一度は情死であつた。三度、留置場にぶちこまれた。思想の罪人と …
著者 | 太宰治 |
ジャンル | 文学 > 日本文学 > 小説 物語 |
初出 | 蝶蝶「文藝 第三巻第二号」1935(昭和10)年2月1日
決鬪「文藝 第三巻第二号」1935(昭和10)年2月1日
くろんぼ「文藝 第三巻第二号」1935( |
文字種別 | 旧字旧仮名 |
読書目安時間 | 約24分(500文字/分) |
朗読目安時間 | 約39分(300文字/分) |