罪障ざいしょう)” の例文
「しかし僕は先生の訓戒に従って改心しているんだ。先生は宗教家だよ。懺悔ざんげによって罪障ざいしょうが消滅するということを知っている」
ロマンスと縁談 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
そうすれば我々の罪障ざいしょうも消えるからと彼らは互いに物語るようになりました。まずこれで安心。どうも仏法というものはありがたいものだ。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
……わしは、わし自身のとがをうけ、こうして、罪障ざいしょうつぐないをしているようなものだが、城太郎はどうしているかなあ? ……。
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「山鳥がお友だち、洒落てるわねえ。」と下向げこうの橋を渡りながら言った、——「洒落てるわねえ」では困る、罪障ざいしょうの深い女性は、ここに至ってもこれを聞いても尼にもならない。
遺稿:02 遺稿 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
赤星ジュリアが蜉蝣かげろうの生命よりももっと果敢はかない時間に対し必死の希望を賭け、救おうにも救いきれない恐ろしき罪障ざいしょうをなんとかして此の一瞬の舞台芸術によって浄化じょうかしたいと願っている。
恐怖の口笛 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「仏法でもいうではないか、そこを“女性の罪障ざいしょうの深さ”だと。亡き良人の友へ、余りに美しく泣いてみせるなどは、その罪、半分は女にもある」
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
現任大蔵大臣 この尼僧はネパールのカトマンズへさして二十年程以前に、罪障ざいしょう懺悔ざんげのために巡礼に行かれた事がある。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)