畛域しんいき)” の例文
即ちせっかく憲法に由って定まった権利の畛域しんいきを、後から軽々しく蹂躪せられまいとする考え即ちこれである。
今はもはや、歴史的には意義のあるこの称呼とそれによって作られた人為の畛域しんいきとに拘泥すべき時ではない。
その畛域しんいき内に池田氏の墓が数基並んで立っていたことを記憶している。墓には多く誌銘が刻してあった。然るに近い頃に嶺松寺は廃寺になったというのである。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
抽斎は『老子』を尊崇そんそうせんがために、先ずこれをヂスクレヂイにおとしいれた仙術を、道教の畛域しんいき外にうことをはかった。これは早くしん方維甸ほういでん嘉慶板かけいばんの『抱朴子ほうぼくし』に序して弁じた所である。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)