鷹司たかつかさ)” の例文
またこの両三日中の訪問者には、京都の名だたる貴紳きしん網羅もうらしているといってよい。菊亭晴季きくていはるすえを始め、徳大寺、飛鳥井あすかい鷹司たかつかさの諸卿。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
武四郎は堤少納言に謁して関白鷹司たかつかさ家を説いたが到底事の行われがたきを知って江戸に還ろうとする途中箱根において捕えられた。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
鷹司たかつかさ関白家をはじめとし、多くの公卿衆がよりより集まり、その実行にとりかかったのを、京都所司代が耳に入れ、これを幕府へ通達した。
猫の蚤とり武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
聞き伝えて、争って高禄と礼節をもって抱えようとする大藩諸侯の迎駕げいがを一蹴して、飄々然ひょうひょうぜんと山をおりたかれ泰軒は、一時京師鷹司たかつかさ殿に雑司ぞうしをつとめたこともあるが
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
○同九月二十二日、鷹司たかつかさ家、一条家の家臣其他数十人を捕う。鷹司公父子退く。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
守る京極きょうごく勢は一たまりもなく責め落され、この日の兵火に三宝院の西は近衛このえ殿より鷹司たかつかさ殿、浄華院、日野殿、東は花山院殿、広橋殿、西園寺さいおんじ殿、転法輪てんぽうりん、三条殿をはじめ、公家くげのお屋敷三十七
雪の宿り (新字新仮名) / 神西清(著)
京都にある鷹司たかつかさ近衛このえ、三条の三公は落飾らくしょくを迫られ、その他の公卿くげたちの関東反対の嫌疑けんぎのかかったものは皆謹慎を命ぜられた。老女と言われる身で、囚人として江戸に護送されたものもある。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
完全に自分たちの門閥もんばつで朝廷の実権を占めようとする新任の関白藤原基通ふじわらのもとみち鷹司たかつかさ右大臣などの意志がかなり微妙に作用しているものと見て大差ない。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この間に鵜飼うがい吉左衛門様や、そのご子息の幸吉様や、鷹司たかつかさ家諸太夫の小林民部輔みんぶのすけ様や、同家のお侍兼田かねだ伊織様などという、勤王の方々が幕府の手により、続々捕縛されまして
犬神娘 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
守る京極きょうごく勢は一たまりもなく責め落され、この日の兵火に三宝院の西は近衛このえ殿より鷹司たかつかさ殿、浄華院、日野殿、東は花山院殿、広橋殿、西園寺さいおんじ殿、転法輪てんぽうりん、三条殿をはじめ、公家くげのお屋敷三十七
雪の宿り (新字旧仮名) / 神西清(著)
加茂川原の向う側からさえわらべ凡下ぼんげが、人だかりを見て、ざぶざぶと水を越えて駈けてくるのだった。わけてもこの辺りには、吉田殿、近衛このえ殿、鷹司たかつかさ殿などの別荘が多いのである。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「使僧範宴とは、何者の子か」関白基通もとみちが、鷹司たかつかさ右大臣を見ていった。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)