高師直こうのもろなお)” の例文
と、にわかに大規模な作戦を立て、高師直こうのもろなお師泰もろやす総帥そうすいとする、二十余ヵ国の兵六万をもって、東条、赤坂の攻略に大挙さしむけた。
日本名婦伝:大楠公夫人 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
高師直こうのもろなおに取っては臣下の妻妾さいしょうは皆自己の妻妾であったから、師直の家来達は、御主人も好いけれど女房の召上げは困ると云ったというが
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
周章した足利直義は、遂に十二月、高師直こうのもろなお、師泰兄弟を総大将として中国、東海、東山諸道の大軍を率いて発向せしめ、最後の決戦を企てた。
四条畷の戦 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
すなわち、この男は十四世紀の高師直こうのもろなおであったり、明治末の出歯亀氏というような、女性に対しての一種の変態性慾を持っている男ではありません。
大菩薩峠:33 不破の関の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
んぬる正平しょうへいの昔、武蔵守むさしのかみ殿(高師直こうのもろなお)が雲霞うんかの兵を引具ひきぐして将軍(尊氏たかうじ)御所を打囲まれた折節、兵火の余烟よえんのがれんものとその近辺の卿相雲客けいしょううんかく、或いは六条の長講堂
雪の宿り (新字新仮名) / 神西清(著)
「南部の忠臣、相馬大作を討取るなんて、高師直こうのもろなおみたいな野郎じゃ御座んせんか」
三人の相馬大作 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
高師直こうのもろなお」という小説を二回続きで『中央公論』へ出してもらった時だった。
文壇昔ばなし (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
第一の人格で彼は大星由良之助おおぼしゆらのすけとなり、第二の人格で高師直こうのもろなおとなった。
二重人格者 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
仏頂寺は、高師直こうのもろなお塩谷えんやの妻からの艶書でも受取った時のように手をわななかせて、その胴巻を鷲掴わしづかみにすると、両手でみくちゃにするようなこなしをして
大菩薩峠:36 新月の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
んぬる正平しょうへいの昔、武蔵守むさしのかみ殿(高師直こうのもろなお)が雲霞うんかの兵を引具ひきぐして将軍(尊氏たかうじ)御所を打囲まれた折節、兵火の余烟よえんのがれんものとその近辺の卿相雲客けいしょううんかく、或ひは六条の長講堂
雪の宿り (新字旧仮名) / 神西清(著)