馬鳴めみょう)” の例文
けれども、目連もくれんや、舎利弗しゃりほつの鼻が長かったとは、どの経文にも書いてない。勿論竜樹りゅうじゅ馬鳴めみょうも、人並の鼻を備えた菩薩ぼさつである。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
元魏の朝に漢訳された『付法蔵因縁伝』五に、馬鳴めみょう菩薩華氏城かしじょうに遊行教化せし時、その城におよそ九億人ありて住す。
伝説には此人一乗要訣を撰した時には、馬鳴めみょう菩薩ぼさつ竜樹りゅうじゅ菩薩が現われて摩頂讃歎さんたんし、伝教大師は合掌して、我山の教法は今汝に属すと告げられたと夢みたということである。
連環記 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
馬鳴めみょう菩薩伝』にいわく、昔北天竺の小月氏国王、中天竺を伐ちて三億金を求む。
かかる暴君一生に九億人殺した者も、かつて馬鳴めみょう菩薩の説法を聴いた縁に依って、大海中千頭の魚となり、不断首をられるとまた首が生え須臾の間に頸が大海に満つその苦しみ言うべからず。
馬は浮流草をこのめばとて浮流草を与えしも、馬ただ涙を垂れて法を聴くのみ、少しも草を食う意なき様子、天下すなわちその不世出の比丘たるを知り、馬がその恩を解したから馬鳴めみょう菩薩とづけ