香味こうみ)” の例文
夕餉ゆうげの時老女あり菊の葉、茄子など油にてあげたるをもてきぬ。鯉、いわなと共にそえものとす。いわなは香味こうみあゆに似たり。
みちの記 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
その二つの香味こうみが、一葉女史の姿であり、心意気であり、魂であり、生活であったような気がする。
樋口一葉 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
今度このたび、同銀行蔵掃除について払下げに相成ったを、当商会において一手販売をする、抵当流れの安価な煙草じゃ、喫んでかんばしゅう、香味こうみ、口中にあまねうしてしかしてそのいささかもやにが無い。
露肆 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)