願人坊主がんにんぼうず)” の例文
近頃、ひそかに研究した人の説によると、彼は農民よりもなおいやしい、乞食の徒、願人坊主がんにんぼうず、ささら売りの成上りだということであります
大菩薩峠:38 農奴の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
物売りの部へ入れるのは妙だが、神田橋本町の願人坊主がんにんぼうずにも、いろいろ面白いのがいた。
梵雲庵漫録 (新字新仮名) / 淡島寒月(著)
近頃の記録に出ているのは、すべて願人坊主がんにんぼうずに近い門付かどづ物貰ものもらいのであったが、それでもまだ彼らの唱えあるいた歌詞などの中には、比較に値する僅かずつの特徴が伝わっている。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
附木店は浅草見附みつけ内の郡代——日本橋区馬喰町ばくろちょうの裏と神田の柳原河原のこっちうらにあたっている。以前もとは、日本橋区の松島町とおなじ層の住民地で、多く願人坊主がんにんぼうずがいたのだそうだ。
するとこの相図を受けた、願人坊主がんにんぼうずが、入れ替ってこんな事を云った
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
昌平橋を渡って姫稲荷ひめいなりのところへ来ると、そこにまた人だかりがあります。見ると願人坊主がんにんぼうずがチョボクレをうたっている。
大菩薩峠:41 椰子林の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)