青侍あおざむらい)” の例文
「ウム! 文句は言わせねえ。すまねえがこの坤竜をまきあげたからにゃ、てめえごとき青侍あおざむらいに要はねえのだ。ざまあ見やがれ」
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
直衣姿のうしすがたの、身分のひくい青侍あおざむらいで、年ばえも、小次郎にくらべて、幾つもちがわない——三ツ四ツ上か——ぐらいな青年である。
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その人の往来を、仕事場の中から、何と云う事もなく眺めていた、一人の青侍あおざむらいが、この時、ふと思いついたように、あるじ陶器師すえものつくりへ声をかけた。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
そこに住む出家、比丘尼びくに、だいこく、所化しょけ、男色の美少年、その他青侍あおざむらいにいたるまで、田畑を耕すこともなくて上白じょうはくの飯を食い、糸を採りはたを織ることもなくてよい衣裳いしょうを着る。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
取次ぎの青侍あおざむらいは卑しむような眼をして、この貧しげな乙女の姿をじろりとめた。しかもその睨めた眼はだんだんにとろけて、彼は息をのんで乙女の美しい顔を穴のあく程に見つめていた。
玉藻の前 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
康頼 いつもは私の車の先払さきばらいの声にもふるえあがった青侍あおざむらいが、急に征服者のように傲慢ごうまんな態度をもってのぞみだした。彼らと車を同じくすることだけでもえられない恥辱ちじょくと思っていたのに!
俊寛 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
われらは、昨日、七大寺もうでに出た京家の青侍あおざむらいどもだが、道に迷うて夜すがら難渋のあげく、おあるじには御腹痛を起され、ぜひなく、しばし社前を拝借しておる。
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
青侍あおざむらいは、帯にはさんでいたおおぎをぬいて、すだれの外の夕日を眺めながら、それを器用に、ぱちつかせた。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
「そちも、当家に仕えて、はや六年ほどにはなるのう。あとで、家司の臣賀に、申しておこう。……きょうよりは、小次郎を、青侍あおざむらいにとりたてて、遠侍とおざむらいの間において、働かせいと」
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
『つい、足もとは、おろそかに見る。盛遠はもと、上西門院の青侍あおざむらい。後に、鳥羽院へ、移されてきた者だ。——あり得ること。しかも、その上西門院は、すぐ目と鼻の先でもあるのに』
青侍あおざむらい一名と、小舎人ことねり三人ほど、召し使っていた。