電鍵でんけん)” の例文
山岸少年は、電文を復誦ふくしょうした。一字もまちがいはない。中尉が「よし」というのを聞いて、ただちに電鍵でんけんをたたきはじめる。
宇宙戦隊 (新字新仮名) / 海野十三(著)
ツーツーカチカチツーツーカチカチ……無電室の中からは、絶えず電鍵でんけんの音が聞えて、レシーバーを耳にあてた二人の男が、外部との連絡をとっていた。
秘境の日輪旗 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
私がホテルの寝床からそのまま父の輸出綿花事務所へやってくると、夜の疲労をぬりかくした、濃化粧したタイピストが電話機の電鍵でんけんたたくように、昨夜の記憶を白紙にうずめていた。
大阪万華鏡 (新字新仮名) / 吉行エイスケ(著)
耳は火のようにほてり、鼓動こどうは高鳴り、電鍵でんけんを握る指端したんにはいつの間にかシットリと油汗あぶらあせにじみ出ていました。
壊れたバリコン (新字新仮名) / 海野十三(著)
トニーは、耳にきこえるモールス符号ふごうを、すらすらと書きとっていましたが、そのうちに、彼も電鍵でんけんを指さきで、こつこつと、おして、なにごとかを無線電信で打ちました。
豆潜水艇の行方 (新字新仮名) / 海野十三(著)
そのあいだにも、小浜兵曹長はしきりと電鍵でんけんをたたいているのでありました。
怪塔王 (新字新仮名) / 海野十三(著)
それを思うと、私は電鍵でんけんに手をふれる勇気が、一時に消失するのを覚える。
地球要塞 (新字新仮名) / 海野十三(著)