雌犬めすいぬ)” の例文
さてあのおしとやかなふうをした歌い雌犬めすいぬはドルス夫人ふじんです。あの子はイギリスだねで、名前はあの子のやさしい気だてにちなんだものだ。
口小言を言ひ乍ら、平次も草履ざうりを突つかけて、路地の外まで出て見ましたが、若い娘の姿はおろか、その邊には雌犬めすいぬ一匹居なかつたのです。
弟君だぞ! 総理大臣も内務大臣も、警察長官もクソも、あるもんかい! その時になって手前ら、お見それしましたと土下座するなってんだい! 交尾さかりのついた警察の雌犬めすいぬめ!
グリュックスブルグ王室異聞 (新字新仮名) / 橘外男(著)
「ちくしょう」と云っておけいは身を起こし、ぎらぎらするような眼で宙をにらんだ、「さかりのついた淫乱な雌犬めすいぬみたような、あのちくしょうあまが、そんなしゃれたまねをしやがったのか」
赤ひげ診療譚:06 鶯ばか (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
どこから、われてきたのか、あまりおおきくない雌犬めすいぬがありました。
母犬 (新字新仮名) / 小川未明(著)
老人ろうじんの回りには三びきの犬が、かたまってねていた。白いちぢれ毛のむく犬と、黒い毛深いむく犬、それにおとなしそうなくりくりした様子のはい色の雌犬めすいぬが一ぴき。