陸羽りくう)” の例文
明治二十九年八月三十一日陸羽りくう地震の発する約一時間前に秋田県五城目ごじょうめ町で家々の鶏が声をそろえて鳴き出した(秋田震災誌)。
地震なまず (新字新仮名) / 武者金吉(著)
八世紀の中葉に出た陸羽りくう(三)をもって茶道の鼻祖とする。かれは、仏、道、儒教が互いに混淆こんこうせんとしている時代に生まれた。
茶の本:04 茶の本 (新字新仮名) / 岡倉天心岡倉覚三(著)
だが、茶の味をで合うなどはおろか、陸羽りくう茶経ちゃきょうひとつ読んだことのないのが多い。——茶の会は、とどのつまり、ただの乱痴気らんちきな大酒宴で終ってしまった。
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そういう方面の多くの書きものの中で、まず大いに兄を芸術鑑賞の立場からも動かしたろうと思われるのは、なんと言っても陸羽りくうの『茶経ちゃきょう』であったろうと自分は想像する。
茶の本:01 はしがき (新字新仮名) / 岡倉由三郎(著)
本にある通りの比重ひじゅうでやったらかめは半分ものこらなかった。去年きょねん旱害かんがいはいちばんよかったところでもこんな工合ぐあいだったのだ。けれども陸羽りくう一三二ごうのほうは三わりぐらいしか浮く分がなかった。
或る農学生の日誌 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
などと、かたりで、中華ではしんのころから紳士のあいだで愛飲されだして、唐の陸羽りくうは、茶経さきょうという書物しょもつさえあらわしている。また、鬱気うつきを散じるによく、血滞けったいを解くによろしい。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)