金蒔繪きんまきゑ)” の例文
新字:金蒔絵
お妙を殺したのは、この三十郎に間違ひもありません。その證據は楊弓の矢には金蒔繪きんまきゑで一々私の名が『岡三』と描いてあります。さア、この私を、——私を縛つて下さい
銭形平次捕物控:315 毒矢 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
こゝに一夜いちやあけのはる女中頭ぢよちうがしらのおぬひ?さん(ねえさんのいまつまびらかならず、大方おほかたうだらうとおもふ。)朱塗しゆぬり金蒔繪きんまきゑ三組みつぐみさかづきかざりつきの銚子てうしへ、喰摘くひつみぜん八分はちぶさゝげてきたる。
熱海の春 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ひもの色、高蒔繪たかまきゑ、いくらか似ては居りますが、よく/\見ると、まるつ切り違つた品で、金蒔繪きんまきゑで散らした紋も、鷹の羽が何時の間にやら抱茗荷だきめうがになつて、嚴重にした筈の封印もありません。
「いや、此處へ來てから一刻近くなるんだ、その間に滲み出したのだよ。座布團は厚いし、駕籠はガタガタの辻駕籠ぢやない。念入りに拵へた金蒔繪きんまきゑ代物しろものだ、少しくらゐの血はれる氣遣ひはない」