金瘡きんそう)” の例文
せっかく癒りかけていた金瘡きんそうことごとくやぶれて、ぱっと、血を吐いたかと思うと、そのままくたっと、馬の背から落ちてしまった。
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ほんとによい天気でございますの。おかげで私の金瘡きんそうもだんだんよく成って参ります。これというのもそなたというなさけ深いお方があったればこそ。ご恩はいつまでも忘れませぬ」
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
三本を口尻へ含んで遺恨うらみと共に永久とわに噛み締めた糸切歯——どちらかといえば小股の切れ上ったまんざらずぶの堅気でもなさそうなこの女の死顔、はだけた胸に三カ所、右の手に二つの大小の金瘡きんそう
曹操の面部はれあがり、金瘡きんそうは甚だ重かった。彼は、その病躯を氈車せんしゃのなかに横たえ、敗戦の譜いたましく、残余の兵をひいて帰った。
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
きょう馬から落ちたのは、わざとしたので、金瘡きんそうが破れたのではない。曹仁が漫罵まんばの計を逆用して、急に血を吐いた真似をして見せたのだ。
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「なるほど、たしかに周瑜にちがいないが、まだ金瘡きんそうは癒っておるまい。およそ金瘡の病は、気を激するときは破傷して再発するという。一同して彼を罵り辱めよ」
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「妖魔め」と、剣を払い、虚空を斬ること十数遍、ううむ——と一声うめいて悶絶もんぜつしてしまった。典医が診ると、せっかく一時なおっていた金瘡きんそうがやぶれ、全身の古傷から出血していた。
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)