酔眼朦朧すいがんもうろう)” の例文
旧字:醉眼朦朧
さては、と思ってかして見ると、酔眼朦朧すいがんもうろうたるかれの瞳に写ったのは、泥濘ぬかるみを飛び越えて身軽に逃げて行く女の後姿であった。
空の色が黒くなって来た時、彼は酔眼朦朧すいがんもうろうとして、酒屋の門前に現われた。彼は櫃台デスクの側へ行って、腰の辺から伸した手に一杯握っていたのは銀と銅。
阿Q正伝 (新字新仮名) / 魯迅(著)
私も酔眼朦朧すいがんもうろうとして、その様子を眺めていたが、早く、桂子を連れださねばならぬと思い、彼女をせかして玄関に出たが、桂子はもはや、ひとりで草履ぞうりをはけないほど酔っている。
野狐 (新字新仮名) / 田中英光(著)
道庵は酔眼朦朧すいがんもうろうとして眺める。米友は眼をみはって高い石垣の下のほりを見下ろす。城を下って城を見上げて、説明を聞くと、加藤清正も熊本城を築く前に来って、この城を見学して帰ったという。
大菩薩峠:24 流転の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
と清之介君は酔眼朦朧すいがんもうろうとして唇を嘗めずった。
女婿 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
酔眼朦朧すいがんもうろうとして四方あたりを見廻したけれども、もう遅い。
大菩薩峠:24 流転の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)