さも)” の例文
併し町人と違つて其処が大名育ちだからあなが金子かねで張らうといふさもしい考は無いやうだが、イヤモウ一生懸命に精々せつせと進物を運び込む。
犬物語 (新字旧仮名) / 内田魯庵(著)
仮令ば彼塔倒れた時生きて居やうか生きたからう歟、ゑゝ口惜い、腹の立つ、お浪、それほど我がさもしからうか、嗚呼〻〻生命ももういらぬ、我が身体にも愛想の尽きた
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
不味い下宿屋の飯を喰っていても牛肉屋のなべつッつくようなさもしい所為まねは紳士の体面上すまじきもののような顔をしていた。
斎藤緑雨 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
たとえばあの塔倒れた時生きていようか生きたかろうか、ええ口惜しい、腹の立つ、お浪、それほど我がさもしかろうか、あゝあゝ生命いのちももういらぬ、わが身体にも愛想の尽きた
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
奥井から壱岐殿坂へ移って、紳士風が抜けて書生風となってからもやはり相当に見識を取っていて、時偶ときたまさもしい事を口にしても決して行う事はなかった。
斎藤緑雨 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)