這箇こつち)” の例文
這箇こつちは気が気ぢやないところへ、もう悪漆膠わるしつこくてたまらないから、病気だとつて内へげて来りや、すぐ追懸おつかけて来て、附絡つきまとつてゐるんでせう。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
私だつて金属かねで出来た機械ぢやなし、さうさう駆使こきつかはれてお為にばかり成つてゐちや、這箇こつちの身が立ちはしない。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
私は全で生捕いけどりに成つたやうなもので、出るには出られず、這箇こつちの事が有るから、さうしてゐるそらは無し、あんな気のめた事は有りはしない——本当ほんとにどうせうかと思つた。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)