迂闊うか)” の例文
この話を聞いては、私も迂闊うかとは手が出せないと思いました。「是非一つやって見て下さい」といわれて「では、やって見ましょう」と軽弾かるはずみな返事は出来ない。
何か只ならぬことが突発したために、こう寂然ひっそりとなったのではないか知ら。こんなときに迂闊うかと身じろきをしてこの静寂を掻き乱したら大変だ、というような気もした。
空家 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
いっそこのままに引っ返そうかと、すこぶる不快を感じましたが、また考えると、彼もあの通りぼんやりしているのであるから、つい迂闊うかと封をしてしまったのかもしれない。
神社に詣るも家におるも感情に何のかわりなく、その上合祀で十社二十社まるで眼白鳥めじろが籠中に押し合うごとく詰め込まれて境内も狭くなり、少し迂闊うかとすれば柱や燈架ガスとうだいに行きあた
神社合祀に関する意見 (新字新仮名) / 南方熊楠(著)