“辛酸”の読み方と例文
読み方割合
しんさん100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
今の辛酸しんさんも、かくまで呪われた恋の不幸さも、忘れていた。——現実に恋人と会っているような陶酔とうすいのなかに尺八を吹きふけっていた。
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この薄命な、しかしねばり強い人が、どれほどのこの世の辛酸しんさんを経たあとで、今の静かな生活にはいったか、私もそうくわしいことを知らない。
分配 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
幼い頃から世の辛酸しんさんめて来た人に特有の、磊落らいらくのように見えながらも、その笑顔には、どこか卑屈な気弱い影のある、あの、はにかむような笑顔でもって
鉄面皮 (新字新仮名) / 太宰治(著)