軟泥なんでい)” の例文
ここはいわゆる海嶺かいれいというところらしく、ゆるやかな起伏のある丘をなしていて、歩くたびに海底の軟泥なんでいは煙のようにまいあがる。
地球発狂事件 (新字新仮名) / 海野十三丘丘十郎(著)
利爪りそう深くその身に入り、諸の小禽痛苦又声を発するなし。則ちこれをきてほしいまま噉食たんじきす。或は沼田しょうでんに至り螺蛤らこうついばむ。螺蛤軟泥なんでい中にあり、心柔輭にゅうなんにして唯温水をおもう。
二十六夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
たぶん適当な軟泥なんでいの層をかぶっている事が条件であるらしい。しかしもしも軟泥の層が単なるリュブリケーターとして作用しているのなら、何も人造石対ゴムに限る必要はないはずである。
日常身辺の物理的諸問題 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
雨あがりの軟泥なんでいの路面に、青白い右腕がニューッと伸びていて、一面に黒い泥がなすりついている——と思ったら、それは真赤な血痕けっこんだった。
疑問の金塊 (新字新仮名) / 海野十三(著)
利爪りそう深くその身に入り、諸の小禽痛苦又声を発するなし、すなわちこれをきてほしいまま噉食たんじきす。或は沼田しょうでんに至り、螺蛤らこうついばむ。螺蛤軟泥なんでい中にあり、心柔輭にゅうなんにして唯温水をおもう。
二十六夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
軟泥なんでいを背景として、人骨がちらばっており、深海魚しんかいぎょ燐光りんこう気味きみわるくいたり消えたりするところもとび越えて、底知れぬ岩の斜面しゃめんにそっておりていく。
ふしぎ国探検 (新字新仮名) / 海野十三(著)
利爪りそう深くその身に入り、諸の小禽痛苦又声を発するなし。則ちこれをきてほしいまま噉食たんじきす。あるい沼田しょうでんに至り、螺蛤らこうついばむ。螺蛤軟泥なんでい中にあり、心柔輭にゅうなんにして、唯温水をおもう。
二十六夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
軟泥なんでいの中に、なまりの靴がずぶずぶとめりこんで、あたりは煙がたちこめたようににごってしまった。
海底都市 (新字新仮名) / 海野十三(著)
そういって語る安宅の顔付には、その年頃の溌刺はつらつたる青年とは思えず、どこか海底の小暗こぐら軟泥なんでいんでいる棘皮きょくひ動物の精が不思議な上咄うえばなしを訴えているという風に思われた。
三人の双生児 (新字新仮名) / 海野十三(著)
その軟泥なんでいの寝床のうえに、怪塔は横たおしになったまま、じっとしていました。
怪塔王 (新字新仮名) / 海野十三(著)