躍然やくぜん)” の例文
こう、叫んだかと思うと、道しるべの石から、躍然やくぜんと立ってきた法月弦之丞が、あわてる列をかきわけて、すばやく、一八郎の駕の棒鼻ぼうばなをドンと抑えてしまった。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
躍然やくぜんとしてもたげたるそのうすの如きこうべのみ坂の上り尽くる処雲の如き大銀杏おおいちょうこずえとならびて、見るがうちに、またただ七色の道路のみ、獅子の背のみながめられて、蜈蚣むかでは眼界を去り候。
凱旋祭 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)