踴躍ゆうやく)” の例文
良心は疾呼しっこして渠を責めぬ。悪意は踴躍ゆうやくして渠を励ませり。渠は疾呼の譴責けんせきいては慚悔ざんかいし、また踴躍の教峻を受けては然諾せり。
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
原つぱには、青葉が房やかに萠えてゐるなかで、仔牛や仔馬がさながら歓喜そのものの精ででもあるかのやうに、身軽に跳舞し、また踴躍ゆうやくする。
独楽園 (新字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
松陰踴躍ゆうやくして曰く、「防長えて真尊攘の人なし、われといえどもた尊攘を言うを得ず、しからば則ち防長の真尊攘者、ただ汝一人のみ、切にみずから軽んずるなかれ」
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
そして、自分も十月の末には江戸へ下るから、面々においてもそれまでに、二人三人ずつ仇家きゅうかへ気づかれぬよう内々で下向げこうせよと言いわたした。それを聞いて、義徒は皆踴躍ゆうやくした。
四十八人目 (新字新仮名) / 森田草平(著)
私は、殆、踴躍ゆうやくして、艙口を駈け下りました。
(新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)