訳語田をさだ)” の例文
旧字:譯語田
鴨がを聞いたのだつけ。さうだ。訳語田をさだの家を引き出されて、磐余いはれの池に上つた。堤の上には、遠捲きに人が一ぱい、あの萱原、そこの矮叢ぼさから首がつき出て居た。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
庚午かのえうま、皇子大津を訳語田をさだいへ賜死みまからしむ。時に年廿四。妃皇女山辺みめひめみこやまべみくしくだ徒跣すあしにして、奔赴はしりゆきてともにしぬ。見るひと歔欷なげく。皇子大津は天渟中原瀛真人あまのぬなかはらおきのまひと天皇(天武天皇)の第三みこなり。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
大和では磯城しき訳語田をさだ御館みたちに居られたお方。池上の堤で命召されたあの骸を、罪人にもがりするは、災の元と、天若日子の昔語に任せて、其まゝ此処にお搬び申して、お埋けになつたのが、此塚よ。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)