被仰おつしや)” の例文
えゝ。少なくとも或る道にかけては。貴方は若いやうで齢取つてゐるのね。何だか貴方が亢奮して被仰おつしやる事は、お爺さんが若者の言葉を
『神戸の夷人ゐじんさんとこ。委しい事は阿母さんなんかに被仰おつしやらないけれど、日本で初めて博覧会と云ふものをさるんだつて。』
蓬生 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
『吉野さん、愈々盆が濟んだら來て頂きませう。先刻さつき信吾さんにお話したら夫れは可い、是非書いて貰へと被仰おつしやつてでしたよ。是非願ひませう。』
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
今日けふは講習会から後藤様ごとうさん一寸ちよつとまはるからすこし遅くなると被仰おつしやいました。』
節操 (新字旧仮名) / 国木田独歩(著)
サモ落胆がつかりした様に言つて、『然しです、何か理由が、被仰おつしやるからには有らうぢやありませんか? それを話して頂く訳にいかないんですか?』
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
「あゝ長老様! もう何も被仰おつしやる事はございません。妾達は勝ちました。天国は妾達の物でございます!」
『何とも被仰おつしやいませんでした。』とふさ言悪いひにくさうに答へる。
節操 (新字旧仮名) / 国木田独歩(著)
『何も私なんかに然う被仰おつしやる事はなくつてよ、小母さんの様に立派な心掛を有つてる人は、神様が助けて下さるわ。』
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
「何だか貴方の亢奮して被仰おつしやる事は不自然で、虚偽な処があるわ。」とあいつは云つたつけな。
そして、體を捻つて智惠子に向ひ合つて、『後で靜子さんから承つたんですが、貴女は日向さんと被仰おつしやるんですね?』
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
さも落膽がつかりした樣に言つて、『然しです、何か理由が、然う被仰おつしやるからには有らうぢやありませんか? それを話して戴く譯にはいかないんですか?』
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
『吉野さんとか被仰おつしやる、画をお描きになる……貴女にも盛岡でお目にかゝつたとか被仰おつしやつてで御座いますよ。』
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)