衿上えりがみ)” の例文
すると、何処からか番人が出て来て、見物を押分け、犬の衿上えりがみをむずとつかんで何処へか持ってく、そこで見物もちりぢり。
たちまち起上りし直行は彼の衿上えりがみ掻掴かいつかみて、力まかせに外方とのかた突遣つきやり、手早く雨戸を引かんとせしに、きしみて動かざるひまに又駈戻かけもどりて、狂女はそのすさましき顔を戸口にあらはせり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)