行厨こうちゅう)” の例文
たずさえて行った行厨こうちゅうを開いて楽しい昼飯を食った、その御馳走のからになった重箱をすぐ其処の水で洗って、その重箱に水を汲み上げた、というのである。
俳句はかく解しかく味う (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
一行は開きかけた用意の行厨こうちゅうを荷って、いわゆる萩原大菩薩峠の頂から熊沢大菩薩の間の尾根を歩き出す。
山道 (新字新仮名) / 中里介山(著)
手にする行厨こうちゅうはムスメを喜ばす甘い物に満たされているのだろう。冬の日は短くとも彼等が歓を尽すにはまだ十分の時間があろう。日の光はもとより公平である。
冬日の窓 (新字新仮名) / 永井荷風(著)