蝋引ろうびき)” の例文
母親の手一つでやる素人洗濯だが西洋の肌着のことゆえ蝋引ろうびきだけは専門家同様しなくてはならない。それで狭い土間に一ぱいの火のし機械を据えている。
豆腐買い (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
僕等はいつか窓かけをおろした硝子窓の前にたたずんでいた。窓かけは、もちろん蝋引ろうびきだった。
悠々荘 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
「上段ノ間の畳を放りだして、安物の蝋引ろうびきゆかにしたのも?」
我が家の楽園 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
きら/\銀色の冴えが瞳に浸みる箱の座を圧し隠すように、傍の別箱の中から蝋引ろうびきの白紙截断紙を掴み出して来て敷きママべます。その上にそっと褐色の段ボール紙を戴せママます。
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)