蓮葉はすつぱ)” の例文
「Student には違ひないわよ。」ツル子は、妙に蓮葉はすつぱな調子で歯切れ好く叫んだ。そして滝の悪い凝視を感じたかのやうに
山を越えて (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
色白で、愛嬌者らしくて、少し蓮葉はすつぱで、そのくせ性根の確りしたところのある、典型的な江戸の若女房型と言つても宜いでせう。
口のきき方も山姫の無邪氣さには遠く、蓮葉はすつぱ娘が甘やかしはうだいの母親の前でだだをこねてゐるやうであつた。
清月にゐる間の自分を省みると、そこには蓮葉はすつぱな無教育な女が自分になつて現はれてゐた。
木乃伊の口紅 (旧字旧仮名) / 田村俊子(著)
彼はもう可なり酔つていたけれども、その言葉が、たゞのキザなお座なりとは響かず、まわりを取巻く女たちの蓮葉はすつぱな笑い声に交つて、気味わるく尾を引き、チクリと脳天にこたえた。
光は影を (新字新仮名) / 岸田国士(著)
「え、え、此頃はもう、隅におけませんよ。」お糸さんは蓮葉はすつぱに云つた。
二黒の巳 (新字旧仮名) / 平出修(著)
愚かなことを云つて(彼女は蓮葉はすつぱな芸妓の云ふやうなことを好んで口にし、また、一切花柳界的な人情・習慣に憧れてゐた。)
小川の流れ (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
蓮葉はすつぱで口上手で、誰にも世辭が良いので、町内の男達の評判は大したもので、現に八五郎なども、その崇拜者すうはいしやの一人だつたかも知れません。
調子の冷たさ、恐らく蓮葉はすつぱで罪のない嘘くらゐは平氣でついた美しい主人に對して、死者に對する好意以上のものは持つて居なかつたでせう。
掻きむしりますよ。少し蓮葉はすつぱで下品な聲ですが、甘くて有頂点で、人をからかつたやうな響きがあつて、横つ面を毆り付けるか、首つ玉に噛りつき度くなるやうな聲です
いや、暗くてよくはわかりませんが、その蓮葉はすつぱな調子から、姉のおことに間違ひもありません。
母親に早く別れたお美代は、少しばかり我儘で蓮葉はすつぱで、そして嘘つきでもありましたが、綺麗に生れついたのが何も彼もつぐなつて、町中の若い男の人氣を背負つて居たのです。
綿わたの師匠などが、會所や床屋とこやの男達のクラブに相對して、蓮葉はすつぱ娘達の寄合ひ場所になつてゐた頃、縁結びからかうじて、附け文ごつこにまで發展し、町内から隣町へかけての
銭形平次捕物控:311 鬼女 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
お半は少し蓮葉はすつぱに言つて、笑ひを噛み殺すのです。