蓮華寺れんげじ)” の例文
蓮華寺れんげじでは下宿を兼ねた。瀬川丑松うしまつが急に転宿やどがへを思ひ立つて、借りることにした部屋といふのは、其蔵裏くりつゞきにある二階の角のところ。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
越後の蓮華寺れんげじ村のおばが井という古井戸などもその一つで、そこでも人が井戸のそばに近よって、大きな声でおばと呼ぶと、たちまち井戸の底からしきりにあわが浮んで来て
日本の伝説 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
なぜ動かないんだろう? 道でも間違ったんじゃアないかしら? ……いったいここはどこなんだろう? ああ蓮華寺れんげじの裏手だよ、名高い渋沢の藪地やぶち前! えらい所へ来てしまった。
剣侠受難 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
秋葉の蓮華寺れんげじに、ただちる私であった所を、そのころ、一筋に浄土門へ入って、名も恋西れんせいと申されていた熊谷入道どのにふとお目にかかり、吉水にかかる上人のおわすと聞いて
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
見まわせば、そこは覚えのある山岡家の菩提寺ぼだいじ駒込蓮華寺れんげじの墓地であった。
剣の四君子:04 高橋泥舟 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ところでこの頃島原城之介、どこを走っていたかというに、蓮華寺れんげじの背後藪地やぶちの前を、例ののように白々と、月光を浴びて走っていた。と、スタスタとうしろから、追いせまって来る足音がした。
剣侠受難 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
ここは時宗寺じしゅうでら蓮華寺れんげじの地域らしく、堂の廂には
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)