むしろ)” の例文
そのとき、寝床の下のむしろの上に、ポツンと赤黒い血の痕がついているのを発見して、彼は驚愕を二倍にした。
棺桶の花嫁 (新字新仮名) / 海野十三(著)
夜は縁日の夜店のかんてらの油煙にむせながら、むしろの上の古雜誌を端から端迄順々に探し求めた。
貝殻追放:011 購書美談 (旧字旧仮名) / 水上滝太郎(著)
姿すがたかたちは、だれともわからぬけれど、やはり蛾次郎と同じように、土台柱どだいばしらのしたへ一枚のむしろをしき、そこへじッと身をかがめたまま、しきりに、うつわの水へぬのをひたして、目をあらっているらしい。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)