葱鮪ねぎま)” の例文
「めっぽう寒いじゃねエか。故国うちにいりや、葱鮪ねぎまで一ぺえてえとこだ。きち、てめえアまたいい物引っかけていやがるじゃねえか」
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
兎に角これ丈けでも独立して出来る迄には半年以上かゝる。鉄砲の卒業は三段目以上がと聞いて打切りにした。小常陸君の部屋で昼飯を喰ふ。御馳走は葱鮪ねぎまだ。
相撲の稽古 (新字旧仮名) / 岡本一平(著)
職人方が帰り際には台所で夕飯時ゆうめしどきには主人が飯をべさせ、寒い時分の事だから葱鮪ねぎまなどは上等で、あるいは油揚に昆布などを入れたのがお商人あきんど衆の惣菜でございます。
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
半七は一と掴みの南京玉を袂に入れて、信濃屋からすぐに隣り町の裏長屋をたずねると、錺職人の豊吉は眉のあとの青い女房と、長火鉢の前で葱鮪ねぎまの鍋を突っ付きながら酒をのんでいた。
半七捕物帳:28 雪達磨 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)