草鞋脚絆わらじきゃはん)” の例文
曲者くせものの姿で、幼い丑松の眼にも気の付いたのは、草鞋脚絆わらじきゃはんに足を堅めていたことですが、その晩は小雨が降って、何となく薄寒かったので
それを、一瓢を携えた道庵先生が、ふらりふらりと上り出すそのいでたちは、草鞋脚絆わらじきゃはんの足ごしらえをよくした、平生の旅の通りであります。
大菩薩峠:37 恐山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
海向いの村へ通う渡船は、四五人の客を乗せていたが、四角な荷物を背負せおうた草鞋脚絆わらじきゃはんの商人が駈けてきて飛乗ると、頬被ほおかぶりした船頭は水棹みさおで岸を突いて船をすべらせた。
入江のほとり (新字新仮名) / 正宗白鳥(著)