茶呑ちゃの)” の例文
葉子さん、椅子いす茶呑ちゃのみ台とを庭へ持ち出して、ベレイなんかかぶって、原稿書いてましたよ。僕が行くと、警戒したようでしたが、お金は欲しいらしいんです。
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
たとい女子供に至るまで茶呑ちゃのばなしにてもかれこれのうわさは一切いたすまいぞ、とのお触れだ。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
やさしい眼をぱちりぱちりとまたたいて、今度は阿賀妻が聞き手にまわっているのである。てのひらの中で、けた茶呑ちゃのみの陶器をいつくしむようにでまわし、微笑をもってうなずいていた。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
下宿からは、さしあたり必要な古火鉢や茶呑ちゃの茶碗ぢゃわん、雑巾のような物が運ばれ、父親は通りからランプや油壺あぶらつぼ、七輪のような物を、一つ一つ買ってはげ込んで来た。
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
そして眠ったかと思うと、そこへ茶呑ちゃのばなしに来ている宿の内儀かみさんと女との話し声が耳に入った。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)