茶入ちゃいれ)” の例文
元来あの茶入ちゃいれは、支那から渡った薬壺であったと云われます。そうして茶碗は多く南朝鮮の貧しい人々がつかう飯碗でした。
民芸とは何か (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
骨董のい物おもしろい物の方が大判やダイヤモンドよりも佳くもあり面白くもあるから、金貨や兌換券で高慢税をウンと払って、くすりの工合の妙味言うべからざる茶碗なり茶入ちゃいれなり
骨董 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
あの民家で用いた信楽しがらき茶壺ちゃつぼ(挿絵第二図)が、支那のいわゆる「黒壺くろつぼ」にどこが劣るだろうか。同じ支那から渡った貧しい茶入ちゃいれに美を説きながら、なぜ立杭たちくいの壺に盲目であるのか。
工芸の道 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
彼らは後にあの「大名物おおめいぶつ」と呼称せられるものを「下手物げてもの」とさげすまれる器の中に発見した。あの茶入ちゃいれ茶碗ちゃわんも元来は数銭に価しない雑器であった。だが茶人たちは鋭くもそれらのものの美に打たれた。
工芸の道 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)