若年者じゃくねんもの)” の例文
「ところがね、道庵先生、その鈴木千七郎殿が、家老には家老でございますが、その時ようやく十七歳の若年者じゃくねんものでございました」
大菩薩峠:26 めいろの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
こっちを若年者じゃくねんものと見て、真理でもないことを、まことらしく説いて、けむに巻いて帰してやったなどと、後で笑っているという手もないとは限らない——
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
父からきびしく叱られているのと、また二つには若年者じゃくねんものの遠慮があるので、長三郎は終始だまっていたが、諸人のうわさ話を一々聞き洩らすまいとするように、彼は絶えずその耳を働かせていた。
半七捕物帳:69 白蝶怪 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
しかるに駒井如き若年者じゃくねんものをよこして我々の頭に置こうなぞとは、見縊みくびられたもまた甚だしいかな
「敗れたと仰っしゃいますが、あのような若年者じゃくねんものに、敗れる先生ではないことを、われわれは日頃から信じております。今日のことは、なにか、ご事情でもあったのではござりませぬか」
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)